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団団珍聞 第756号(明治23年6月7日) 「アー銅臭い」
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    団団珍聞(まるまるちんぶん)は明治時代に発行されていた娯楽雑誌。某図書館に30年ほど前に復刻されたものが保管されていることを知り、気になる記事を読み解いていく事にした。今回は第756号(明治23年6月7日)より「アー銅臭い」を収集。

    ※は部首の多少の違いがあるがフォントで対応できていないケース

    [く]は縦書きで2倍のながさの「く」が表示される「くの字記号」

    ( )は漢字に振られているルビ

     

    以下、原文

    ○アー銅臭(かねくさ)い[く]

    ○こゝの長屋(ながや)の井戸※(ゐど)ア堂(だう)したんだか此頃滅法(このごろめつはう)かねツ臭(くさ)く成(なつ)て來(き)た茶(ちや)ないかヲヤ南(みなみ)のお嶋(しま)さん鍛冶屋(かぢや)のお小屋(こや)さんだの皆(みな)さんお揃(そろ)ひデ丶丶丶丶本途※(ほんと)に皆(みな)さんも御承知(ごしょうち)でしやう一体井戸(たいゐど)ばかりにア限(かぎ)りません子何(なん)でも臭(くさ)いと云(い)ふのア池(いけ)ないもんで物識臭(ものしりくさ)い學者臭(がくしゃくさ)い紳士臭(しんしくさ)い尤臭(もっともくさ)いなんテ云(い)ふ様※(やう)に臭(くさ)いト云(い)ふ語尾(ごひ)の附(つ)くものア正眞本物(しょうじんほんもの)とは行(ゆか)ず曖※昧(あいまい)な代物(しろもの)です此井戸(このゐど)の水だつて左(さ)う蛇(じゃ)ア有魔(ありま)せんか汲(く)むたんびに正眞(しょうじん)の金(かね)でも出(で)て御覧※(ごらん)なさい誰(たれ)も何(なん)とも云(い)ふものア有(あ)りませんが銅(かね)の様※(やう)な乙(おつ)な匂(にほ)ひがプン[く]として之(これ)を臭(か)ぎ込※(こ)むと胸(むね)が惡(わる)く成(な)りお飯※(まんま)も給(た)べられない位(ぐらゐ)です本途※(ほんとう)に高[く]の家賃や諸掛(しよがゝ)りを長屋(ながや)中(ちう)で払※(はらつ)て居(ゐ)ながらこんな銅臭(かねくさ)いのを其儘打捨(そのまゝうつちやつて)て置(おか)れ茶(ちや)ア誠(まことこ)に迷※惑尤(めいわくもつとも)この十月頃(ぐわつごろ)か十一月頃(ぐわつごろ)にア方(ほう)[く]から人夫(にんぷ)を集(あつめ)て井戸※浚(ゐどが)ひをするさうですから左(さ)うすりア今迄(いままで)の不潔(ふけつ)な水(みづ)は浚(か)ひ干(ほ)して仕舞(しま)ひ以前(いぜん)より些(ちつと)は清※(きよ)くなるに違※(ちが)ひないが夫迄※(それまで)も待遠※(まちとほ)な話(はな)しさ子ト云(い)ふと傍(そば)に居合(ゐあは)す十二三の小娘(こむすめ)「おばさん其時(そのとき)にア大勢(おぼぜい)の井戸※(ゐど)やさんが根から底(そこ)からすつかり洗(あらつ)て浚(か)ひ干(ほ)すでしやうから鮒(ふな)なんざア泥(どろ)に酔※(よ)ひ泳(およ)き兼※(か)ねて迷※(ま)ご[く]するで有(あ)りませう「アー[く]夫(そり)アあ汝(まへ)さん其時(そのとき)にア鮒(ふな)ばかりには限(かぎ)らない鯰(なまづ)だつて矢(や)ツ張(は)りサ    礫川喜望

     

    以下、現代語訳

    アー銅臭い臭い

    ここの長屋の井戸はどうしたんだか、この頃滅法銅臭くなってきたじゃないか。おや、南のお嶋さん、鍛冶屋のお小屋さんだのみなさんお揃いで。ホントにみなさん御承知でしょう、井戸ばかりに限りませんがね、なんでも臭いというのもいけないもので物知り臭い、学者臭い、紳士臭い、もっとも臭いというように臭いという語尾が付くものはみんな本物ではなくて曖昧な代物です。この井戸だってそうじゃありませんか、汲むたびに本物の金でも出てきてごらんなさい、誰も何も言うものではありませんが、どうのような匂いがプンプンしてこれを嗅ぐと気持ち悪くなりご飯も食べられないくらいです。本当に高い家賃や料金を長屋のみんなで払っていながらこんな銅臭いのを放って置かれてははなはだ迷惑です。もっとも10月か11月頃には人を集めて井戸さらいをするそうですから、そうすれば今までの不潔な水は無くなって、今よりちょっとは清潔に違いなくてそれが待ち遠しいです。そんなことを話しているとそばにいた12〜3の小娘が「おばさん、そのときには大勢の井戸屋さんが底からすっかり掻い出してくれるでしょうから、鮒なんかは泥を飲み込んで泳げなくなってマゴマゴするでしょうね」「あーお前さん、そのときは鮒だけじゃなくて鯰だってそうなるよ

     

    以下、解説

    長屋の井戸端で話す女性たちの会話である。

    都市の長屋では共用の井戸があり、またその井戸は長屋の大家が管理する義務があることが読み取れる。

    またこの井戸は、書かれている様に度々汚れることがあり、臭いが発生したり、また鮒や鯰が住み着いてしまう。

    小魚が生息することについての清潔感についてはこの文章からは判断できないが、そう否定的に書かれているようには読み取れない。

    | ウラノイエノケンチクカ | 団団珍聞 | 11:47 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -









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