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団団珍聞 第755号(明治23年5月31日) 「コンキウバイン」
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    団団珍聞(まるまるちんぶん)は明治時代に発行されていた娯楽雑誌。某図書館に30年ほど前に復刻されたものが保管されていることを知り、気になる記事を読み解いていく事にした。今回は第755号(明治23年5月31日)より「コンキウバイン」を収集。

    ※は部首の多少の違いがあるがフォントで対応できていないケース

    [く]は縦書きで2倍のながさの「く」が表示される「くの字記号」

    ( )は漢字に振られているルビ

    ■は判読できなかった文字

     

     

    以下、原文

    ○コンキウバイン

    妾宅(せふたく)とは只名(たゞな)のみ九尺(しやく)二間(けん)の詫住居(わびぞまゐ)と怪(あや)しげなる六畳※(ろくでふ)の間には長火鉢主人顔(ながひばちしゆじんがほ)に坐(ざ)を構(かま)へ燻(くす)べ上(あ)げたる銕瓶(てつびん)は遏覆ろ)くして別製(べつせい)の炭團(たどん)のごとく紀※州(きしう)子ルの坐蒲團處々(ざぶとんところどころ)に吸殻(すひがら)の祟(たゝ)りを受(う)くその上(うへ)に坐(すわ)り込※(こ)みしは年(とし)の頃(ころ)十七八ともぼおしく髪(かみ)は高髷(たかまげ)にて扈漫覆ろちり)めんの羽※織(はおり)を着(き)ながして居(ゐ)る娘(むすめ)にもあらねば藝妓(げいぎ)にも見(み)えずクツキリと垢抜(あかぬげ)のして居(ゐ)る容貌(ようぼう)で鑑定(かんてい)下(くだ)せば上等陰賣女(じょうとういんばいぢよ)ならんか井戸端會議(ゐどばたくわいぎ)の説※明員(ぜつめいゐん)或山(あるやま)の神※(かみ)に問(とふ)て見(み)ると果(はた)して共用物(きよういう■つ)月々三圓乃至(ないし)五圓位(くらゐ)にて枕(まくら)の塵(ちり)を払※(はら)ふて細(ほそ)き烟(けふり)を立(た)て居(ゐ)るとの事元(こともと)は歴※々(れつき)とした士族(しぞく)の嬢※(じやう)さんであつたが不幸(ふかう)にして父母(ふぼ)に別(わか)れ遂※(つひ)に果敢(はか)なき身(み)の成果夜毎情※(なりはてよごとなさげ)の切賣渡世今(きりうりとせいいま)では或旦那(あるだんな)の専賣品(せんばいひん)と成(な)つて何不自由(なにふじゆ)なく圍(かこ)つて貰(もら)つて居(ゐ)升「ハヽア成程(なるほど)つまらなくつて上口(うはくち)の乾上(ひあが)りを癒(いや)すため下口を濡(ぬら)す奴(やつ)サ「それぢやア矢張(やつぱり)紳士(ゼントルメン)の妾(めかけ)でも困窮賣淫(こんきゅうばいいん)だア    大頭樓

     

     

    以下、現代語訳

    妾宅とは名ばかりで、侘住まいのような九尺二間の家の怪しげな六畳間には長火鉢。主人がこちらを向いて座り、前には炭団のように燻された鉄瓶。吸殻で所々穴の空いた紀州ネルの座布団に座っているのは、歳は17〜8で髪は高髷にして黒縮緬の羽織を着流している、娘とも芸妓とも言えないが、鑑定するところは上級娼婦だろうか。井戸端会議の説明員が或る山の神に聞いてみると、今は月々3円か5円位で枕の塵を払って細い煙を立てている。元々は士族のお嬢さんで父母と別れた不幸な身の上で、身を売りながら世を渡っていたが、ついに或る旦那の妾となって不自由なくくらしているとのこと。「ハハァなるほど、上の口の干上がりを癒すために下の口を濡らすヤツだな」「それじゃあやっぱりジェントルマンの妾でも困窮売淫だ」

     

     

     

    ある妾宅を訪ねたが、その妾宅があまりにも質素なのを他でからかっている様子である。注目すべきは妾宅の描写で、九尺二間は6畳ちょうどのサイズであるから相当に小さな家なのか、またはその小さい様子を誇張して表現していると思われる。

    暖房器具は長火鉢で鉄瓶がかけられている。また座布団は明治初期に発売された紀州ネルであるが相当に傷んでいる描写であ。755号が発行された明治23年には紀州ネルは多く流通していると考えられ、この描写がどのような意図があるのか推測は難しい。また月々3円か5円で不自由なく生活ができるということも読み取れる。なお755号は一部6銭である。

    | ウラノイエノケンチクカ | 団団珍聞 | 13:03 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -









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